仁志敏久さんに学ぶ「肘を上げろ」がダメな理由

元プロ野球選手で、ジャイアンツとベイスターズで活躍した仁志敏久さんとお笑い芸人でお子様が野球をされているレッド吉田さんの対談動画です。

動画の序盤では、日本代表の心構えなどの大変貴重な話題から始まり、中盤で「肘を上げろ」という指導について話がされています。※下記リンクは肘を上げるための指導例から再生されます。

指導の失敗談

私も指導の経験上、腕の動きや肘の高さが気になる時期もありましたが、様々な学びを通して、まず見るべき点はそこではないことがわかりました。

その第一歩として、肘下がりの選手に「肘を上げろ」という言葉は、子供に混乱を招く恐れがあるということを知ったことが大きかったです。

肘下がりとは

学童野球でよく言われる「肘下がり」ですが、これは前足(踏み込み足)が着地した時に、投球側の肘が肩と同じ高さに来ていることが理想的な形という考えから、その瞬間だけを切り取って、肘が下がっているから「肘を上げろ」と子供に伝えている場合が多くあります。

プロ野球選手の中には、ここで言う、肘が下がった状態の選手はいます。だから、治す必要がないのか？と言われると難しいところですが、瞬間的に肘が下がっていても、その選手に合っている形の可能性がある、ということが大事になります。

肘が上がりすぎる例も

仁志敏久さんは、ひじの高さは肩の高さ以上にはいかないこと、肩の高さより上がっているということは、無理な負担がかかっていることをおっしゃっています。

リリース時の肘の高さは上半身の傾きで決まる

この画像の様に、本来ならば上半身の傾きに合わせて投げる角度が決まります。
ということは、上半身を傾かせる力があるかないかも理解する必要があります。

肘が下がっている選手に、肘を上げろ！と、またはオーバースローを目指すような指導をしていませんか？

そうするとこの様に肘が過度に上がり、その後肘が下がる軌道にもなりかねません。

プロ野球選手などのトップ選手の腕の振りにこだわらず、その子に合った投げ方で、腕の振り以外で少しアドバイスしてどう変わるかを観察してみるのも選手のためになるかもしれません。

サイドスローは楽をしている？

とあるプロ野球選手は「自分の投げやすい位置を探るのが大切」と言います。指導の現場では「しっかりと上から投げること、横から投げるのは楽をしているから」と学童野球のコーチが言っているのを聞いたことがあります。

確かに、サイドスローで投げるのは楽かもしれません。しかし、その形を気にしてオーバースローに矯正するのは、急がなくても良いと思います。

学童野球〜中学野球にかけてはまだまだ成長期なので、腕の振りに関して指導をするよりも、体幹や下半身、特に軸足の使い方や使う意味をしっかりと教えてあげると、下半身の動きにつられて腕の振り方が変わってくることもあります。

そういった視点で投球フォームを見ることができる指導者が今後は求められていくのでしょう。