解剖学の知識

学童野球に関わる保護者コーチのために、ケガ予防や正しい動作指導につながる簡単な解剖学の基礎知識をやさしく解説。骨・筋肉・関節の役割を知って、安心・安全な指導をサポートしましょう。

保護者が指導に関わる学童野球では、医学的な専門知識までは必要ありませんが、子どもの体の仕組みを少しでも理解しておくことで、ケガの予防や的確な声かけにつながります。

このページでは、小学生の野球指導に役立つ最低限知っておきたい解剖学のポイントを、できるだけわかりやすく紹介します。


1. 骨の成長:大人と子どもは違う!

  • 子どもの骨には成長軟骨(骨端線)がある
  • ここは非常にデリケートで、無理な負荷がかかると将来の成長に影響する
  • 成長軟骨はレントゲンでは白く映らないため、診断も難しい

例)肘の投げすぎ → 小児野球肘 → 骨端線障害

2. 筋肉:急に伸ばすと傷つきやすい

  • 小学生は筋力よりも柔軟性と協調性が重要
  • 特に太もも・股関節・肩まわりの柔軟性がプレーに直結
  • 強い筋トレよりも、体を大きく動かす運動(ラダー・ケンケンなど)が◎

補足:筋肉の起始(始まり)と停止(終わり)を知ると、ストレッチのやり方も理解しやすい

3. 関節:動く方向は決まっている

関節には「正しい動かし方」があります。ムリに動かすと靭帯(じんたい)や軟骨を痛める原因に。

  • ひじ関節:基本は曲げ伸ばし(横方向のひねりはNG)
  • 肩関節:可動域が広く、回旋運動ができるが不安定
  • ひざ関節:ねじりに弱く、横からの衝撃に注意

声かけ例:「無理にひねるな」「やわらかく使おう」「方向を守って」

4. 神経系:小学生は“動きのセンス”を磨く時期

  • 神経の発達は10歳ごろまでに約90%が完成
  • この時期は「うまくなる」というより「身につく」
  • たくさんの動きを経験させると、プレーの幅が広がる

アドバイス:反復練習よりも“遊び要素”や“バリエーション”が大事

5. 呼吸・姿勢・体幹:全部つながっている

最近注目されているのが体幹(たいかん)と呼吸の関係です。

  • 呼吸が浅いと姿勢が崩れ、プレーにも影響
  • 正しい姿勢で呼吸 → 軸が安定 → 投げる・打つが安定
  • 猫背や反り腰はケガの原因にも

チェックポイント:「息を止めて力まない」「背筋はピンとせず、自然なS字カーブ」

まとめ:知っておくことで“守れる”

子どもたちの体は発展途上で、とても繊細です。難しい理屈はわからなくても、「何を避けるべきか」「どうすれば安全か」がわかっているだけで、大きなケガを防げます。

ぜひチームの保護者コーチ全員で共有し、子どもたちの安全な野球環境づくりに活かしてください。